レース開始1時間半。 坂下での接触転倒。
それが、チーム「およめ」が迎えた最初のアクシデントでした。
駆け寄るみっちー。 ライダーは? マシンは? 一体何があったの?
話しを聞くと、どうやらダンゴの競合いの中、フロントタイヤを弾き飛ばされ転倒をした様でした。
体の打撲と精神的なショックから動けなかった様でしたが、どうやら大きな怪我はなく、マシンも動く。 自力でピットに戻って来る事ができました。
転倒は激しかった様ですが、幸いにもマシンに大きなダメージは無く、特に修理も必要なし。 「およめ号」はレースに復帰して行きました。
落ちた順位を取り戻すべく、走り出すのは第3ライダーの「NAOMIちゃん」。
今回は、練習している時間がなく、おまけに中井を走行するのは2年ぶりの事でしたが、すぐさま23秒台入り。
そして間もなく22秒台となり、ベスト22秒61の果敢な走りを見せてくれるのでありました。
泣きじゃくってた「MOMOちゃん」も、どうにか少し落ち着いて来た模様。
そんな矢先、またしても、「およめ号」転倒!の知らせが飛び込むのでした。 「NAOMIちゃん」が走り始めて40分後の事でした。
マーシャルからの報告では、どうやら坂下のゼブラの先でスリップダウンした模様。 マシンダメージは無かったのか、泥まみれになりながらもピットに戻って来る事もなく、そのまま走り続けるのでした。
そして、ノルマの1時間を一気に走り、ピットイン。 第4ライダーの「HIFUMIちゃん」へと繋ぐのでした。
練習会では転倒続きの「HIFUMIちゃん」ではありましたが、今回は慎重に・・とにかく転ばない事だけを考えて・・コースイン。
本調子ならば1時間走ってもらう所でしたが、右手の骨折をしたばかりで負担になってはいけないので、あえて30分を2回・・と、時間を刻んで走ってもらう事にしました。
そして無事に30分間走りきり・・、給油時間。
3分間の給油時間は、慎重にガソリン給油をしているとあっという間の時間でした。
第5ライダーは「HIROMIちゃん」。
年末年始と2回練習を積んだ成果が表れて、コンスタントに23秒台。 中盤からは22秒台にも入る頼もしい走りを見せてくれました。
ジムカーナでもそうですが、彼女の最近の成長ぶりには目を見張る物があります!
ベストタイムは、22秒62をマークしたのでありました。
そして再び「HIFUMIちゃん」へ、バトンタッチ!
2回目のコースインをして行くのでした。
耐久レースも残す所、1時間半。 どのチームも、おおよその順位が見え出して来ました。
チーム「およめ」は・・、現在5位。
ハンディポイントも若干あるし、最後みっちーが巻き返しをすれば、もしかしたら3位か4位に食い込めるかもしれない・・?
ただ、運営的に考えれば、表彰式の準備など・・やる事いっぱいの時間だから、最後まで自分が走ってしまっては、後々の仕事に支障が出る・・。
そして何より、「MOMOちゃん」が、もう一度コースに出る事を望んでいる・・。 転んだまま耐久レースが終わる事が、悔しくて仕方ない様子なのです。
チームの順位を考えるか?、選手の気持ちを優先すべきか?、レースの運営はどうするのか?、色々選択を迫られる中、チーム「およめ」の出した結論は・・
「狙える物なら少しでも上位を狙いたい。」 でした。
その為に、ラストの1時間は、みっちーに・・と。
表彰式の景品の仕分け、順位当ての振り分け、ペナルティのカウント、炊事場の片付け、そして終了のチェッカーフラッグ。
全ての仕事をみんなに伝えて、これから始まる1時間の走りに備え、準備を始めるみっちーでした。
そこに、思わぬ知らせが飛び込んで来るのでした。
およめ号が、坂下で止まっている?! しかも既に4~5分経ってる?!
「何で? どうして?」 「ガソリンは入っているはず。 エンジントラブルでも起こしたの?」
状況も掴めないまま、心配になり様子を見に行こうとした・・その時に、「HIFUMIちゃん」とおよめ号が、ピットに戻って来たのでした。
「どうしたの? 大丈夫?」
大丈夫との返答に、そのままライダー交代をしてコースに入ったみっちーでしたが、走り始めたその瞬間にただならぬ異変を感じるのでした。
「転んだんだ・・。」
そう、エンジントラブルで止まったのでなく、転倒してエンジンが掛からなかったのです。
とにかくハンドルが著しく倒れ込んでて、とてもアクセルを開けられない・・。 上り坂でどんどん抜かれる・・。
「とてもこれで1時間は走れない・・。 ピットインをしなくては・・。」
すぐさまピットに飛び込んで、ハンドルの位置を戻し、他に壊れている場所は無いか?ざっとチェックしました。
チャンバーとステップに若干ダメージはあるものの、とりあえず走行に支障は無さそう・・。 ただ、もう順位は狙えない・・。 だったら自分が1時間走る必要はない・・。
「最後のトリはMOMOちゃんに任せるから、走れる準備しておいてね!」 そう伝え、みっちーは最後の走りに出向くのでした。
つづく